魔女に最も必要なもの

majyonitsuite 魔女になるには

魔女にもっとも必要なものが何かを1つ上げるとすれば何でしょうか?神性に対する信仰心などは当然としても、色々と悩ましい。結局、魔女として成長していく上で不可欠なもの、という考えに思い至り

「魔女にとってもっとも必要なものを1つだけあげるとするならば、それはリベラル・アーツである」

という答えに到達しました。

もちろん、ここでいうリベラル・アーツは伝統的な三学四科ではなく自然科学、社会科学、人文学、語学のような現代的なリベラル・アーツ、つまり幅広い教養となるわけですが、実際にこれがないと自分の見聞きしたものや、見聞した情報等を正しく判断することができなくなってしまいます。この幅広い教養というものとリベラルアーツの関係は非常に密接です。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行教授がこの関係について非常に簡潔かつ分かりやすく説明されているのでこちらもぜひ読んでみてください。

特に魔女の世界は

「いかにも正しいことを言っているような評価を得ているまがい物」

が多いので、このことは今後さらに強調しても足りないということはないでしょう。

実際のところインターネットが普及するということは便利な反面、初心者には特に弊害が多いのです。例えば、私がよく言うことの一つですが、たかだか数年(数年もあれば御の字ということすら多いのですが)で、その道のプロのように騙る人と、本当に長年の実績と積み重ねを持っているプロフェッショナルが同じように情報発信できます。同様に、まがい物が本物のように騙ることも多々あります。それだけに、安易な道、努力が大して必要がない道、楽しさを前面に押し出した道など、色々なものが出てきます。でも、それらはほとんどがまがい物であるか、あるいは価値のないものです。もちろんこれは魔女に限らずあらゆるジャンルで当てはまります。少し話はずれてしまいますが、実際のところ「簡単に手に入るものや簡単にマスターできるもの」は無価値なものです。

そうしたものの真贋を見極めるためには「正確に判断するための必須道具としてのリベラル・アーツ」が絶対に必要なのです。

もちろん、自分の無知を悟ることや、人の話をきちんと聞く、といったような最低限のことも重要です。しかし、それができたとしても悲しいかな、最低限の知識がないとそれがまるで生きてこないのです。

実際に若い人と話をしていて(最近は若い人に限りませんが)よく聞かされる「各種陰謀論」等も、まともな、しかもちょっとした知識がきちんと身についていればデマだと簡単にわかるものが、いかにもありがたい話のように騙られている、あるいは語っている人を、見ることがよくあります。これなどもリベラル・アーツがたりないとどうなってしまうかの良い例です。

同様に、私がよく例として出す話ですが、オラクルカードなどで有名になっている元自称魔女(今はキリスト教に転向)が、魔法の為に必要なものの例として『シーシェパード等の犯罪(テロリスト)集団の活動を尊敬して支援』などという実名をあげての犯罪者礼賛を挙げていたという事がありましたが、こうしたとんでもない自称魔女をありがたがっている人もいます。こういうのをありがたがってしまうのも前頭葉の働きもさることながら、リベラル・アーツが決定的に足りない一例でしょう。

ともあれ、こう書きながら、やはり「魔女に必要なものを一つと言われたらリベラル・アーツ」というのは適切な答えの一つであるということがよりはっきりしてきたように思います。

ですから、魔女をめざしていたり、既に魔女になっている人で、これを読んでいる学生のみなさんは学生というありがたい身分のうちにどんどん幅広い勉強をしてほしいと思いますし、社会人でも月に数冊でも良いので「魔女や仕事とは無関係な本」を読む等、日々積み重ねて行ってほしいと思います。

(初出:橘青洲ブログ 2017年7月23日 2021年7月28日改訂)

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