第12篇 吊るし人 救いは犠牲と引き換える 愚か者の為の甘露か 大いなる喜びは 他者の大いなる犠牲を当然とする その恐るべき信仰を 狂った個人主義は信奉者に教示する 死すべき神 自らを自らに捧げる存在は 価値の基準を回転させ 渇いた者に自らの血を与え 飢えたる者に自らの肉を与える 渇いた者はそれを当然とし 飢えたる者はそれを催促する そこには感謝も祈りも無い その必要が無いのだ | |
第13篇 死神 腐敗した時代がニグレトの渦に巻かれ 初めから在ることの無い 変わらないものを流れに求めて 変わらないものを何かになぞえて 幻眩の崩れ去るを 次代に負わさんと 在る流れを知らず 在る映いを感じず 時の流れを越えて変わらないものを 見果てぬ者達が 滅びの序曲を 時の流れに呑まれ 混沌の色を 見つめる者達が新しい地平の春秋分点を 我在身の住処と | |
第14篇 節制 聖杯から聖杯へ水は潅がれ 命を超えた永遠は示される 女神の黄金の瓶は生命の水を潅ぎ 目的は浄化され祝福は福音を呼ぶ その時水はワインと成り 力と轟きは御せらるる 本能と欲求とは統合され 魂が満たされた時 意識と無意識は融解合一し 自己が導かれる 地平の彼方の存在の領域は汝を招く | |
第15篇 悪魔 「汝なすべからず」を 汝の戒律に思えずと到る時 暗き情動と原初の力が 人間の中の野性を呼び覚ます 大地の祝祭豊饒の祭儀が 大いなる創造たる 獅子の咆哮を呼び覚ます 内なる暗闇と月下の牧場と野蛮な森が 魔力ある木々真夜中の疾風を呼び覚ます 満面たる月と死せる月が 蒼褪めた星光の五芒星と 嵐を御する暗黒の主人に 我等が命と全ての命が一つであると 悦びと恐れを携えて いと古き者と眷属が力を解放する呪文とし 忘れられし孤絶した 名も無き神域に 眠れし力を喚起せん 原初の曉から時の終焉迄 忘らるる力を喚起せん 我等が幻視が現視と成る迄 | |
第16篇 塔 稲妻が人の中心に鳴り 嵐の黒雲が寺院の星数の階段を撫でる 人々の力強い叫びを雷が黙らせる 彼らの言葉はもはや言葉にならず その刹那尊大な夢幻は雷光に砕かれる 破壊と荒廃の雷は誇りを地に呑ませる 智恵がたった一つの実であったよう 人々の力もたった一つの言葉だった 人賊となり 人それを償う 汝に属さぬ果実の夢は 未来に在り過去に在り しかして夢の中に在り それは時を左右しない | |
第17篇 星 宙を司るウラニア 宙 の意識とその全てを明かすイシス 美と理想と純粋な愛を司るアフロディテ 全ての愛の守護者アシュタルト 天空のヌート 空と星の子宮は太陽の母 バイバロン、シリウス、ビーナスは 七芒の星と相成り 彼女と星とは 道を求める者に 精神の休息と 宙 の息吹の安らかなるを教え 宙 の数理、春秋分、冬至夏至 星の結合と三分一体座を教える 運命の螺旋はここに顕れ 星星の神々は祝福を与え 青き星の女神は調和を愛の旋律で奏でる 大気を纏う乙女は 常しえに汝が未来への追憶成れば成り | |
第18篇 月 アヌビスは恐怖と戦慄の塔の前に立ち 深夜の荒涼とした道を示す 月は我らの原始の血を 心の深底の黒泥塊より その鎌首を擡げさせる 月は干満を支配するように 我らの内なる水の支配者である 全てを心の内なる黒泥塊へ 全てをの奥なる黒泥塊へ その時全てはケイオスを知る 不明の夜明けはなく それは全てであり それは全てでない ケプイーラーは自ら辿り着く者だけに その姿を顕現する それまで月の貴婦人よ それまで月の淑女よ 我らは貴女に祈祷を捧ぐ 死せる者よ・・・冥き者よ・・・ 不吉なる者よ・・・陰気なる者よ・・・ 我を貴女に捧げる 故に我を抱擁せよ・・・絞殺せよ・・・ 我を投げ捨てよ!貴女の深淵に・・・ 我を投げ捨てよ!招き誘う暗黒の陰の内に・・・ 貴女の棲む洞窟の祠の様に 大地よ不毛で多産なれ | |
第19篇 太陽 「大いなる作業」が一歩進み 魔術師は黄金を創り出した 神聖界の新生児は 守護と祝福を一身に受け 次なる地平に向けて無邪気に歩き出した 父の示す道は 母の子宮を通ってのみ 歩みを進める事ができる進化の道程 大知は全てに与えられ 全ては全てに解放され ラーの創造 アポロの光明 ヘリオスの顕現 全ての者が総ての者となり 全てが到達できるキリストの意味を知る | |
第20篇 審判 生まれ変わった平衡は 元通りに修復されたリズム 生まれ変わった平衡は 浄化されたカルマ 生まれ変わった平衡は 生命と愛の再生 生まれ変わった平衡は 自然との調和を旋回する不死鳥 命は完全なる堕落と崩壊を経て 信仰は御手によって滅ぼされる 何故なら肉体の棺からの解放は 無意識の表面を漂う魂の解放に他ならぬ 完璧さと解放は 癒しと祝福であり それは終わりを考えない努力への報酬を意味する 創造と超越の福音は 断固たる決意によってのみ導かれる そこに統合への歩みはあるのだ | |
第21篇 更なる愚者 魂のあての無い漂流が終わり 海図と磁石と自明灯の下夜の海を彷う者よ 汝の踏締めた道には混乱と苦悩しかなかった 汝の幸福はかりそめであり 汝のかりそめは永遠であり 汝の今日の安らぎは 明日の困難の序曲であったが 汝の今日の困難は 明日の安らぎの序曲でもあった 汝の虚ろな目は目的を見据えたものであり 汝の徒労に映る足取りは その実自信に満ちたものであった しかして汝の希望は夢であり 汝の夢は無でしかない 無と現とを夢と見做し 夢でしかない夢が現と同化し 人生のさすらいは 振出から無に到った 浄化され開かれたチャクラは コスモスが内なるを教えた 世界と共に一つなる者 汝の名は愚者なり | |
第22篇 世界 神によって創造され 神を創造し 神と共に世界を創造し 全ては貴女に帰し 貴女は全てに帰す 全ての母と全ての最愛の人に 時間を超越した貴女のイメージは 全ての者に常に具現化され 二重螺旋を軽やかに踊る 貴女の宣する声音は永劫にこだまする 我は特別なり 我と同じ存在無し そして我は宇宙なりと 我ら卑下して貴女の名を呼ぶ かつて在りし者 今在りし者 そして在るであろう者 全てに光と祝福を! |