こうしたページを作ることについて私は大変迷いました。と、いうのも「祈り」というものは非常に個人的なものであり、それについて何か書く、という行為自体に非常に大きな違和感と困難さ感じるからです。
そもそも「祈り」というもの自体が私自身にとって、息をしたり、水を飲んだりするのと同じような次元のものであり、「息の仕方」「水の飲み方」などと言うのを、誰も書こうと思わないのと同じだから、とも言えます。
ところが、色々な人とお話していく中で、いかに「祈り」というものが理解されていないかを目の当たりにすることがよくありました。そして「祈りというもの」を理解できたとたんに、いきなりそうした人たちの悩みが解決されていく瞬間を目の当たりにする機会が増え、これは、「息の仕方」「水の飲み方」を知らないで苦しんでいる人がたくさんいるということだ、と思い、これを書こうと思いました。
しかし、いざ書き始めるとなると、大変難しい作業だということに気がつきました。
第一に、自分たちにとっては当たり前すぎて、何を書いてよいのかわからない、という点です。次に「祈りの奥義」自体が極めて単純で、それを解説する、ということが非常に困難を伴う作業だったからです。
ここではできるだけ、簡単に、そして私がよく訊かれる質問を意識しつつ、「祈り」と言う人間にとって不可欠なものについての話を展開していこうと思います。当然「魔女としての」という立場で述べていくことになりますが、私がここで述べることの多くは他の信仰を持っている方、あるいは特定の信仰を持っていない方にも通じるものだと思っています。
また、魔女の信仰を持っている方には、これは初歩的な、しかし、奥義をも含んだ呪文の唱え方、呪文の効果的な使い方、呪文の作り方のテキストとしても使えるものになっていくと思います。
最後に、このページの構成は手紙の形式を取っています。この形にしたのは、「祈り」を伝えるということは、基本的に師から弟子への個人的な作業だからです。このことと、実はもっと大きな理由ですが、何よりも私は、このページを読んで下さっているあなたに直接語りかける為に書いているからです。
ただ、私が普通の宗教が持っている祈りに対する考え方と大きく異なっている点が一つあります。それは、私は「自分たちの祈りは必づ聞き届けられることを知っている」ということです。その意味ではかなり実践的な祈りの話になるでしょう。
これによって、一人でも多くの方が、「自分の祈り」に親しむきっかけを作っていただければ、そして、自分の祈りが、確実に聞き届けられ、「祈り」が実際に人を幸せにする事実に触れていただければ、と思います。
(初出 2007.7.16 橘)