魔女について

ここでは、私たちがいう魔女についてをお話します。

私たちがいう魔女はいわゆるペイガニズムの魔女、つまりWicca、Witchcraft、Oriental Wiccaの信仰を持つ者、という意味だと解釈してください。

もちろん、おとぎ話の魔女やキリスト教の概念の中にある魔女など、およそ「魔女と称される者」は世の中に数多くあります。しかし、そのすべてについて説明をすることはここでの趣旨から離れてしまいますし、まったく違った概念の説明(キリスト教について、歴史学的な話、文学的な話)になってしまうのでここでは扱いません。

さて、魔女といっても女性ばかりではありません。キリスト教が「魔女=醜い老女」というイメージを意図的に定着させ、明治時代に日本に英語が入ってきたときに、「witch」という単語を、その説明を元に「魔女」と訳してしまったために女性ばかりというイメージが定着してしまっただけなのです。実際には男性の魔女は多く存在しています。

Witchcraft

Witchcraftという言葉は非常に幅広いのですが、このサイトではペイガニズムの伝統的魔女、という意味に限定して説明します。

Witchcraftという言葉の中に「宗教」と「術」という2つの側面を持っています。英国のマーガレット・A・マレー (Margaret Murray) 博士が1921年にその著書の中で「宗教的WITCHCRAFT」と「効能的WITCHCRAFT」と分類した側面です。「術の側面のWitchcraft」とここでは特に言及しません。ここでは「宗教的Witchcraft」について簡単にお話しようと思います。

Witchcraftはモヘンジョダロやラスコー洞窟の壁画などの、旧石器時代の狩猟の神と豊饒の女神の崇拝に起源を求めることができる自然崇拝の宗教とされています。

こうした自然崇拝の生活に密着した信仰が、時代と共に洗練され、それに伴って神性の概念も洗練されてきました。ですからWitchcraftが自然崇拝の信仰とはいっても、自然そのものを崇拝するというわけではなく、宇宙や自然の力を崇敬し、その中に、あるいは背後に隠れた神と女神に対しての信仰心を持つのです。この点が一番誤解されやすいところでしょう。もちろん、伝統的Witchcraftは完全な多神教に分類されます。この神や女神に対する考え方は次に説明するWiccaでも共通します。

Oriental Wiccaもこの伝統的Witchcraftの一つとして成り立っています。

Wicca

実際に活動している魔女という意味ではほとんどがWiccaです。Wiccaはペイガニズム、もしくはネオペイガニズムの範疇の自然崇拝の魔女です。Wiccaと言う言葉は「叡智の術」あるいは「叡智の技術」と言う意味の古いアングロサクソン語だと言われています。

Wiccaは「魔女」とも呼ばれることから、悪魔主義者とよく誤解されますが、悪魔を崇拝したりはしていません。悪魔はキリスト教が、「魔女狩り」をするために発明したものです。彼(あるいは「それ」)は新約聖書より前の文学には存在しませんでした(悪魔というものを発明し、それにしたがっている人たち、という妄想を事実のように広め、それを理由にキリスト教会が何の罪もないたくさんの人たちを拷問し、生きたままの火あぶりなどのような虐殺を何百年にもわたってしたのが「魔女狩り」です)。

英国(イングランド)で、1951年に「ウイッチクラフト禁止令」が廃止されたのを契機に、ジェラルド・ガードナーが著述などを通して、「自分が魔女であること」そして、「魔女が悪魔崇拝者や古びた呪術を行う老婆などではなく、古き宗教の現代の実践者」であることを発表しました。そして、魔女が魔女狩りの時代を通り抜けた今、絶滅の危機に瀕していることを訴えました。こうしたガードナーの呼びかけに各地で細々と、地下に潜る形で存続していた魔女たちが応え、復興のきっかけとなったのです。

ガードナーは長い迫害の歴史の中で魔女の教えが断片的にしか残っていないと考え、これでは体系だてたものにならないと考え、儀式魔術などの儀式を引用して付け加えたり、新たに色々なものを考案して付け足したりしてWiccaを形作りました。

やがてWiccaはさまざまな流派を生み出し、大きな宗教的ムーブメントに成長しました。その中にはガードナーの流れを組む伝統的な流派、お手軽なニューエイジ風のもの、本来のWiccaとはかなり違う上に商業として、あるいはサービス業として機能しているニューエイジWiccaなどが無数に生まれています。

Wiccaの神や女神に対する考え方は多神教で神と女神、そして創造主たる神性を崇めています。ただし伝統的Witchcraftと違うところはWiccaでは「全ての神は一つの神、全ての女神は一つの女神」という考え方を採用していますそれゆえに擬似一神教などという言われ方をする事もありますが、一神教がメインの欧米ではこうした思想の多神教の方が素直に受けいれられやすかったのかな、とも考えられます。

本来はガードナーにつながる魔女の宗教だけをWiccaと呼び、他の宗派とは区別をされていましたが、近年ではそれに限らず、特にガードナー以降の新しい魔女の宗教の相承として使われることが多くなっています。「古き神々」を崇拝し、自然と共に生きる信仰の名前として使われます。

しかしながら、内実はどうであれ、Wiccaというものは日本ではあまり知られていないか、怪しげな「オカルトもの」と一緒にされてしまったりしますが、欧米では、仏教、キリスト教、イスラームなどと同じような正当な宗教として認められています。

以上、とても簡単にWitchcraftとWiccaの説明をしました。とてもこのくらいの説明で理解されるものだとは思えませんが、このサイトでお話を色々させていただくの当たって最低限、というつもりで書きました。

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