ここでは話の便宜上、特に断りがない場合「魔女」は「ペイガニズムの魔女」の事をさして、「それ以外の魔女」を「日本語の魔女」ということにして話をしていきます。
さてこれはとても難しいご質問です。
答自体が難しいというより、表現としての応え方が難しいのです。
そこでここでは大きな特徴だけに絞ってお応えとさせていただきます。
先づ第一に私たちや私たちが学んだ先輩、付き合ってきた魔女たちは自分たち魔女の宗教の実践者だと考えています。その上で神と女神を信仰しています。カヴンに所属していようが、ソロだろうがこれなくして魔女はありえません。なぜなら魔女の儀式にしても魔女のスペルにしても神と女神の存在が常になければ成り立たないからです。
中には
「特定の神や女神を信仰する必要は特にない」
などと訴える人もいるでしょう。こうした考えの人たちが「魔女と自称すること」も否定しません。でもこれはあくまでも「日本語の魔女」であり、魔女でもないしWitchcraftともWiccaとも無関係な存在です。
また、こうした無神論的な主張を私は否定はしません。いかにも「世界から遊離している日本人的」で、そういう人が多く出てくるのもわかるからです。
しかし、魔女は自分たちの信条や儀式などを魔女の宗教ととらえています。だからこれは魔女の考え方ではありません。そもそも魔女の儀式もスペルも「結局のところはすべて祈り」なのですから、神と女神を信仰していなかったら一体何に祈るのでしょう。
第二に魔女としての活動や儀式などのとらえ方が違います。例えば、
「思想や政治との関連こそが大事」
などと主張する人もいつの時代にもいます。時々初心者がこういう主張をする人を見て「新しい!」と感動している茶番を見るのですが、こうしたものは少なくても私は1980年代から繰り返し見ていますから、こうしたものを「新しい!」と思う人はそもそもの不勉強を反省すべきです。
特に思想や政治との関連は魔女の団体に所属した人などや魔女以外の人が魔女の思想を利用して自分の主張を展開することがはやった時期が1970~1990年代にあり、スターホークなどもこの時期の草分けのような人です。そして今もその残滓が残っています。
もちろんこうした主張をする人たちを私は否定はしません。しかし、これは多くの日本人が根本的な誤解をしている部分だとも思います。
日本では無神論が当たり前という風潮がありますし、無神論が知的なように扱われる傾向すらあります。しかし、これは日本人と国として宗教を禁止している共産主義国家くらいのもので、世界のスタンダードではありません。
何が言いたいかといえば、政治活動や思想活動をする人は「元々何かの宗教の信仰者」である場合がほとんどなのです。そして、その人の政治活動や思想活動に「信仰する宗教の考え方が根強く影響している」ということなのです。そうした意味で多くの場合、宗教と政治・思想などは対等ではなく、宗教というベースの上にそれらがあることが原則なのです。日本人はこれが理解できずにバラバラに考えてしまう人が多いので、宗教と政治・思想などを対等に考えたり、場合によっては政治・思想の方をメインに考えたりしますが、それは根本的な理解ができていないことにほかなりません。
でも以上のような考え違いを含めて、このような人たちが「魔女と自称すること」は否定しません。でもこれはあくまでも「日本語の魔女」であり、魔女でもないしWitchcraftともWiccaとも本質的には無関係な存在です。
第三に魔女というものに対しての姿勢についてです。
「魔女はしょせんオカルト」
「魔女を楽しむことが大切」
という主張の人も数多く見かけます。魔女やペイガニズムをオカルトと一括りにしてしまうのは難しい問題ですが、例えば「キリスト教はオカルト」「仏教はオカルト」「イスラームはオカルト」という言葉が成り立つ世界や場面でならそうなのだと思います。ようするにそういう次元の話です。
また魔女が儀式などを楽しむことは否定しません。そしてそれはとても大切です。しかしそれは最初にお話しした神と女神への信仰があってこそ、です。ですからそれなしで「ただ楽しむ」という考え方やそれが真剣であっても「趣味」や「遊び」として実践するというのではあくまでも「日本語の魔女」であって魔女ではありません。
他にも魔女によっては色々と違いを指摘する場合があるでしょうが、大筋共通するだろうという違いを解説してみました。繰り返しますが私たちはコスプレも含めて「日本語の魔女」を否定はしていません。しかしそれは魔女とは別物、というだけなのです。