ブックオブシャドウズ(Book of Shadows)

用語集

現代の魔女たちが持つ個人的なノートを指し『影の書』ともよく呼ばれています。本来はカヴンなどの魔女のグループに備えられたグループ全体の共有のものを指していたという説もあります。ここでは個人のノートについてを中心に説明します。

このノートは基本的に無地のノートで黒い表紙をつけられています。場合によっては黒い表紙の上に革のカヴァーなどをつけていることもあります。中の紙は羊皮紙が伝統的で最近は擬羊皮紙あるいはパーチメント紙と呼ばれる羊皮紙風の紙(硫酸紙)を使ったものの方が多いようです。昔は長持ちする紙は羊皮紙しかなかったので羊皮紙であっただけなので、羊皮紙のノートにすることに何か特別に魔女的な意味や呪術的意味などがあったわけではありません。

ブックオブシャドウズには儀式次第、神や女神への祈りの言葉やスペルについてなどが書かれます。カヴンなどのグループに所属している場合はグループに備えられたブックオブシャドウズから先輩魔女の指示に従って許可された部分を写し取ったりもします。また、二人の魔女がお互いのノートから自分が学んだことや経験上学んだことなどをお互いに写しあうこともあるようです。このようにこのノートは非常に個人的なものなので特に意識して丸写しをするという特殊な事情でもない限りまったく同じものが2冊存在するということはありません。

伝統的にはブックオブシャドウズはその持ち主が死んだとき燃やされることになっています。欧米では現代日本のように火葬が一般的ではない(土葬が一般的)ので葬儀の前後にひっそりと燃やされたと考えられます。これは魔女狩りがあった時代にこうしたものが残っていて誰かに発見された場合、死者や残された家族が魔女である証拠になってしまい、その結果魔女狩りによる危害が加わることを防止するためでした。

ちなみにこの個人的な秘密のノートをブックオブシャドウズと呼ぶようになったのは基本的にWicca以降(1950年以降)の魔女といわれています。それより古い伝統を持つ伝統的Witchcraftではこのような大仰な呼び方はせずに「ザ・ノートブック (the notebook) 」とよんでいます。なぜなら、ブックオブシャドウズのような特殊な呼び方をするデメリットは魔女狩りの恐れなどたくさんありましたが、メリットは何一つないので当たり前といえば当たり前なのです。今でも伝統的Witchcraftの流れを汲む流派では今でもこの呼び方をしているところもあります。

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