グループマインド(group mind)

用語集

日本ではグループマインドというとSFにおける概念の「複数の個体がひとつの意識を共有している状態」を意味する場合が多いようです。

しかし、これは心理学用語でもあり、その場合「一つのグループをあたかも一人の人間のように見なした時の心の状態」をグループマインドと呼んでいます。これについて書かれた本としてはアメリカの心理学者ウィリアム・マクドゥーガル(William McDougall:1871-1938)の『The Group Mind』 (1920, reprinted 1973,2005)が有名です。彼は唯物論とダーウィニズムの両方を否定していたり、それとアニミズムを関連づけたりなかなかに面白い人ですがそれについて細かく書くことは本稿とは関係がなくなってしまうので残念ですが割愛します。

さて、グループマインドは、一つの集団をあたかも一人の人間のように見なした時にあらわれる心の状態、つまりその集団における集団心理のようなものを指しています。例えば、ある家族全体を一人の人と見なした時にその状態は、家族のグループマインドであると呼びますし、ある企業を一人の人と見なした時にその起業のポリシーや起業としての判断などの根拠となる考えなどがグループマインドと呼ばれるのです。

当然ですがこのグループマインドはそのグループを構成している構成員によって大きく影響を受けます。つまり、構成員それぞれの心の状態が、全体にも影響しあうのです。例えば、家族の主要な構成員である夫婦が良好な関係で幸せを感じていたとすればその影響でその家族の子供たちも幸せを感じるように影響を受けたり、逆に夫婦仲が険悪であったりけんかばかりで幸せを感じていなかったとしたら、その家族の子供たちは幸せを感じにくい影響を受けたりするといったことがあげられます。

その他の例としては政治活動をしているグループや楽団、演劇団のような芸術集団、あるいは宗教団体などもあげられるでしょう。

このようにグループマインドという考え方でグループを見た時、そのグループを構成している構成員一人一人の心の状態がグループ全体に影響を与えると考えることができます。

カヴン等の魔女のグループも同様のことが言えます。前述のようにそのグループの主要なメンバーの考え方や構成メンバー一人一人の心の持ちようがグループ全体に大きな影響を与える作用をします。更にこれに加えて、そしてこれが大切なのですが、伝統のある流派の場合、その流派が受け継いできた、いわば「歴史的グループマインド」とも言うべきものが構成員に大きな影響を与えたりもします。また結成して数年でも活動が活発なグループでは歴史的グループマインドと同じようなグループマインドが構成員に影響することもよくあります。ただ、残念ながらこうした歴史の浅い団体のグループマインドは往々にして極端に走りやすかったりもするので注意が必要です。

魔女のグループを作ったり、加入したりする時にはこのグループマインドという視点をしっかりと持っていないと構成員一人一人にそれが大きな影響を及ぼしてしまうという、とても大きな点を見失うことになってしまいますがこれについて指摘している本やサイトなど、初心者 (中級者も)が手にできるものにないのが残念かつ危険な現状が特に日本では長く続いているのです。ですから、魔女のグループに加入したり、あるいは結成したりする時にはできればキャリアの長い魔女に相談してみるくらいの用心深さが必要だとも言えます。

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