軟膏のことです。そもそも軟膏とは「皮膚に塗って、基剤に薬品を均一に混ぜたもの」なのですが、魔女の軟膏の伝統的なレシピに基づいているものは基剤に白色ワセリン、パラフィン、蜜蝋に植物油をまぜて作った黄色の軟膏の「単軟膏」などがあります。古い軟膏のレシピの基剤はほとんどが単軟膏でした。
魔女の軟膏はこれらの基材にハーブをアルコールに漬けて成分を抽出したもの(チンキ剤)を混ぜたり、細かい粉末にして混ぜたりして作っていました。
魔女は現代の塗り薬のように色々な軟膏を作って病気の治療に役立てていましたし、事実そうしたものがメインなのですが、おとぎ話や物語では有名な「魔女の空とぶ軟膏」のイメージでよく語られています。現実的にはメンソレータムやオロナインのようなものを想像してもらえればよいですが……
現代にも伝わっている魔女の軟膏のレシピにはメディテーション(瞑想)用の軟膏や魔除けの軟膏などいくつもの種類のものが残されています。また、そうした伝統的なレシピを元に新しいものも数多く作られていますが、インセンスやオイルほどは魔女の中でもメジャーでないのでそれらのレシピに比べれば数はかなり少ないのが実情です。